若い女性は婦人科に行け〜卵巣嚢腫と私①

2017年の夏、卵巣嚢腫の手術をした。
不安で枕を濡らした夜も、小さな傷の痛みで悶えた夜もほとんど忘れてしまったが、現時点で残っている記憶の記録をしておきたい。
また、私と同じ病気が見つかって悩んでいる方には、治療が一段落するまでの1つのケースとして読んでもらえたらと思う。
ツイートの「ちょんまげ〜」は、きっと当時の私の強がりである。

自分は健康だと思いたかった

婦人科に行こうと思い立ったのは、包み隠さず言うと、おりものが気になったからだ。ネットで見るように透明ではないのが気になり、「万が一変な病気とかだったら嫌だな」と検査をしてもらうために産婦人科デビューをした。ついでに子宮頚がんの検査もしてもらった。


「〇〇さんね、画面見て。」

女医さんのいる時間を狙い、人生で初めての内診。股をぱかっと開いた状態で見せられたのは、パンパンに膨らんだ自分の卵巣だった。

「右のがこれね。で、左がコレ。」

思わず「うわー!」と声が出るほど左だけパンパンだった。衝撃。サイズはもう覚えていないが、直径7cmか9cmだった気がする。

「結構大きいので多分手術になりますね。」

あれ?ちょっとした検査に来たはずなのに手術?と混乱して、待合室で泣いた。その際に、優しく励ましてくれた看護師さんに超感謝している。(看護師の方々には、今後病院でお世話になるにあたって、後々もっと感謝することになる。)

全体的にモッサリとしているが、今まで一応大きな病気もせずに健康に生きてきたので、「私の体は丈夫で健康なのだ」と思い込んでいた。そんな中に手術宣告。人生どん底の気持ちで家に帰った。

代替医療でダイエット

病気が判明してから、検索魔の私はとにかくネットから知識を探った。医者から聞いた「卵巣嚢腫」という言葉で検索をかけ、Wikipediaから個人ブログまで、夜な夜な目をギラギラさせて自分はどういった病気なのか調べた。
一通り調べた結果、はっきりと原因が分からない病気であることが分かった。当初気になっていたおりものも結局問題なく、この病気とは全く関係がなかった。

肩を出して電気を点けっぱなしで寝たのがいけなかったかな。肉や甘い物の食べ過ぎかな。運動不足がいけなかったのかな。仕事を頑張りすぎてストレスが溜まったのかな…。原因が分からないので、後悔することさえ上手くできなかった。
そんな中、東洋医学に関連した冷えが疾患を招くという考え方にたどり着いた。もしかしたら病気が良くならないかなと、一縷の期待を託して生活や食を見直した。

タイミングが良かったのか悪かったのか分からないが、丁度実家を出て一人暮らしを始めたところだったので、とにかく肉を使わずに調理をし、体を冷やさないようにも気をつけた。そうしたら、みるみる体重が減り、7キロほど痩せた。リバウンドもなく、ぽっちゃりがすこしスッキリして気分が良かった。
それまでは、夜10時過ぎに仕事から帰り、母のこしらえたカツ丼を食べる(食べないと母がガッカリしてしまう)ようなデブ生活を送っていたので、体重が落ちるのは当然だった。

しかし、パンパンに膨れた卵巣は一向に小さくならなかった。旅行先の清水寺音羽の滝で、健康長寿の水を一気飲みしたりしたが、そんな願掛けでは手術を免れることはできなかったのだ。でっかくなった卵巣を鎮めるには手術しかない。それが現実であった。
そんなわけで、狭義の代替療法を試してみたわけだが、病気には全く効果なし。肉を食べすぎたり体を冷やすのは確かに良くないことかもしれないが、きっと普段から習慣づける事で疾患のリスクが減るのかもしれない。
重篤な病気になってしまった方が、藁にもすがる思いで大枚叩いていろいろと試す気持ちがよく分かった。ただ、私の場合は普通の市販の本を5冊購入しただけで、調理スキルが0から7くらいまで上がり、デブから健康体重下限のややスリムになったので、めちゃくちゃ結果オーライだった。ちなみに、本はアマゾンの中古で購入し、先日メルカリで売った。いかなる時でも倹約は怠らない。効果があるのかどうなのか怪しいホメオパシーだとか高額なサプリメントだとか、そういったものに手を出さなくて本当に良かったし、この経験によって代替医療への耐性がついた気がする。

早く見つかれば儲け物

医者からは「珍しくない病気だけど、友達10人に聞いて同じ病気って人はまずいないだろうね」と言われたが、「こんな病気になりましたよ〜」「手術しましたよ〜」と職場やツイッター等で報告したところ、周りに同じ病状の人が結構いて驚いた。主に以下のような反応があった。

「友達が手術した」
「この前手術したところ」
「今度手術します」
「娘の卵巣も腫れてる」
「娘が捻転で緊急手術した」

この5つ目の捻転というのが厄介で、腫れた卵巣が重みで捻れると、血が通わなくなって腐ってダメになってしまう。一応片方でも妊娠は可能だが、大事な卵巣を1つダメにしてしまうというのはとても怖い。また、破裂してしまうこともある。

医者からも捻転のリスクを聞いてから「手術は怖いけれど、捻転する前に見つかったのはラッキーだし、婦人科に気軽に行った自分グッジョブ!」と病気が見つかったことをポジティブに捉えることにした。
世間には「何か見つかると嫌だから検査を受けたくない」という人が一定数いるが、私は早く見つけたい。手遅れになって怪しい代替医療に引っかかって財を失うよりも、早期発見できちんと治療をお願いしたいのだ。本当に大きな病気にかかったときにそう都合よくいくものかは分からないが、自身の健康感を見直せる良い機会となった。

今回のまとめ

とにかく、出産前の年頃の女性は「用がないから」と忌避しないで、一回婦人科で検診を受けておくのをオススメする。痛みがない故に「沈黙の臓器」と呼ばれる卵巣。パンパンに膨らんで捻れる前に見つかれば儲けものである。
是非、友人やご家族にも、一度検査を勧めていただきたい。


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