西洋医学よ、ありがとう〜卵巣嚢腫と私③

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ついでにできるものなのか

入院中のいつぞや、N先生から術後の説明があった。

子宮筋腫、ちっちゃいの取っておきましたからね〜」

子宮筋腫核出。

「ついでに卵管掃除しておきましたからね〜」

卵管の掃除。ついでにである。

ついでに卵管の掃除をするという言葉が自分にとって未知の領域すぎて驚いたが、医療について素人の私が理解しようとするのはそもそも傲慢である。
不妊治療の一環で卵管に働きかけることがあるそうだが、これがまた超激痛らしいので、意識のない間に処置してもらったのは大変ラッキーであった。ありがとう、N先生。
そして、退院後の診察で、私の卵巣嚢腫はチョコレート嚢腫であることを伝えられた。

ピルはすごいんだぞ

卵巣嚢腫の内容物には漿液・粘液・脂肪などの種類があり、血液の場合はチョコレート嚢腫と呼ばれている。名前こそかわいいが、子宮内膜症由来のもので、ぶり返す可能性のある厄介なやつだ。立ち会ってくれた母が、嚢腫の内容液を見たそうだ。黄色い液体に少し黒いものが入っていたということなので、この黒いものが血液なのだろう。私も見たかった。
再発を防ぐために「ピルを飲みましょう」ということになった。これまたショックではあったが、やむを得ない。月経をコントロールすることが重要なのだ。
その後、ヤーズフレックスという低容量ピルを結婚するまで飲み続けた。排卵を抑え、月経の回数を少なくすることができる。(違ったらごめんなさい。)
血栓症のリスクがあるし、毎日続けなければならないので、最初は薬漬けになるイメージで飲むのが嫌だった。しかし、幸い副作用もなく、自分には合っていたようなので、実際にはメリットだらけだった。

  • うまくいけば生理(消退出血)が3ヶ月に1回で済む
  • 生理周期が安定する
  • 生理痛が軽減し、経血も少なくなる
  • 肌もマシになる

元々そんなに月経で苦労していたわけでもないが、それでも今まで飲んでなかったことが悔やまれるほど楽チンになった。
私は子宮内膜症の治療目的で飲んでいたが、「生理痛が重い」等で悩んでいる方は、とにかく一度産婦人科にかかってほしい。そこには何か病気が隠れているかもしれないし、薬で症状が改善することもある。

総括

人生で初めての入院・手術だったため、医療に従事する方々の大変さや、その恩恵を受けることができる有り難さを知ることができた。以前、N先生が緊急手術に入ってしまい、診察まで5時間待ったことがあったが「大変な手術後に申し訳ないな」という思いを抱いた。今後間違っても、30分待たされたくらいで受付に怒鳴り込むお年寄りのようになることはないだろう。経験が人の言動を変えるのだ。
また、きちんと計算をしていないが、手術だけで五十万、麻酔等含めトータル九十万もするような高額な医療を、限度額うんたらや保険やらで無償同然で受けることができた。日本の医療制度にも感謝したいものである。どうにか破綻しないように、政治家の方にはご尽力願いたい。

手術から一年後、結婚を機にピルを飲むのを中断し、そのまた一年後には無事妊娠することができた。病気が見つかったときには「自分には子どもができないのではないか」と不安に思うことあったが、良い先生と出会い、しっかり治療してもらえたことはとても幸せなことだと思う。
閉経まで薬との付き合いは続くだろうし、また別の病気にかかる可能性も大いにある。その都度、感謝の気持ちを忘れずにお世話になっていきたい。
本当に、西洋医学よ、ありがとう。

(完)