私は3回死ぬかと思った〜出産レポ④

産まれてしまいます

車中でツナマヨの手巻き寿司を食べて腹ごしらえをし、陣痛が来ている間も普通に歩いて産婦人科外来へ向かう。余裕の闊歩である。主治医のN先生が不在のため、別の産科の先生に診察してもらうことになった。

「今、4cm開いてますね〜」
子宮口の開き具合をみてもらう。3日前の診察で3cmだったので、少し開いていて嬉しい。
「どうしましょう。一旦帰って様子みてもらってもいいですが、入院してこちらで管理させてもらった方がいいと思います。」
「入院でお願いします!」
こんなに陣痛が来ているのに、帰ったら家で産まれてしまうのではないか。何はともあれストレートで無事入院が決まった。

待機室にて

陣痛の痛みがやや強くなり、波が来るたびに立ち止まりながら病棟へ向かうと、スタッフさんに待機室に通された。隣には結構お産の進んでいる方が先に入っている。会話の内容から、促進剤を使っている様子だ。分娩監視装置から聞こえる音が強くなるたびに「ああ〜ああ…」と、痛みに苦しむ力無い声が聞こえてくる。私もあのように苦しむのかと、ここでメチャメチャびびってしまった。そして、親族大集合すぎてメチャメチャうるさかった。産まれた後も、隣にいる私に全く遠慮せずに待機室で大声で電話する産婦の父。怒りでいっぱいなのであった。いつまで待機しているつもりなんだ。早く娘と孫のところに行ってやってほしい。

突然の破水

分娩監視装置を見ていると、グラフが上がってくると同時に痛みがジワジワと広がってくる。痛みが「来た」とはっきりと分かるより先にグラフが動くので、経産婦の中には「アレを見ると痛くなるのが分かっていやだから、あえて見ないようにしてた」という方もいるそうだ。
まだまだ冷静に耐えられる痛みなので、私はグラフをじっと見つめて痛みに備えていた。
ある時、「また波が来るぞ」と思った瞬間、下半身にブワーッと生温い液体が広がっていった。破水である。これがまた生温かくて、メチャメチャ気持ちが悪い。とりあえずナースコールをして、着替えをする。ベッドは防水。有難い。お産パッドをあてておけばよかった。申し訳ない。産褥ショーツは残機2である。

破水前後に時々内診があったが、これがまた痛い。卵膜剥離でヒイヒイ言っていた頃が懐かしい。陣痛の強さも増してくる。
「今、私、カイロ・レンだわ…」
目を見開き、プルプル震えながらレイとせめぎ合うカイロ・レン。レイでも良かったが、ちょっとあの独特のイーッという表情は、お産に於いては力が入りすぎな気がするので除外しておく。

「15:44、腰がガクガクするくらい痛い」

「後でブログに書くからメモっといて」と、主人につけてもらった記録だ。「陣痛カウンターを押せるうちはまだまだ」とは本当にその通りである。一番痛いときは痛みに耐えるのに精一杯で、本当に腰がガクガクと震えた。今までずっとパチモンスカイウォーカーの呼吸法を続けていたが、「フー、スー」ができなくなり、「ふー!ふー!ふー!ふぅ…」と声が出てしまっていた。修行が足りない。痛みの質が明らかに変化したので内診してもらい、分娩室に移動することになった。
出産を振り返ると、このガクガクの痛みが一番痛くて、3回くらい「死ぬ!」と思ったし、子宮口が開くまでが超辛いというのは本当だった。

 

 

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