眠れない夜は薬に頼ろう〜出産レポ⑥
はじめてのつめきり
個室に着くと、生まれたばかりの我が子をゆっくり観察する。紫色の手に少し血色が出てきた。小さい鼻の頭の白いポチポチが気になる。耳輪がペラペラで紙のようだ。
既に爪が伸びていたので、持参した爪切りで整える。小さい指を傷つけてしまいそうで、「こんな感じですかね」と助産師さんに尋ねながら恐る恐るハサミを進める。
私の両親が面会に来て、じいちゃんばあちゃんデビューを飾る。1つ親孝行ができた気がする。
出産当日なので、赤ちゃんはナースステーションで預かってもらい、主人も帰っていった。
一人の夜
遠くから赤ちゃんの泣き声が聞こえる。私の子かしら。空調が定期的に「レー」と鳴るのが気になる。
出産、痛くて怖かったな。
おへそ、もう凹んでるな。
お腹、もう仰向けになるとぺちゃんこだな。
赤ちゃんはここにはいないんだな。
下腹部痛と会陰切開の痛みで寝付けない中、少しセンチメンタルになってしまい、涙を流した。
それもこれも下腹部痛と会陰切開の痛みで寝付けないのが原因なので、さっさとナースコールをして「すみませんが…」とロキソニンをもらって寝た。
眠れなかった。
1時間後、脳が目覚めた。
目も瞑って身体は眠っているのに、意識は妙にはっきりしている。初めての感覚だが、金縛りではない。その時私は、出産を終えたことをちょっと忘れていて、そしてすぐに思い出した。脳はハイになっているが、身体は思った以上に疲れているのだろう。
少しブログにメモをする。時刻は午前3時22分。相変わらず「レー」が気になる。後陣痛はロキソニンの効果を超えてくる。
なんだかお腹が空いたので、明日の朝食が楽しみである。
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