君はみかんをフルーツと呼べるか

圧倒的な水分量

生まれて初めてみかんを踏んでしまった。

母が買いすぎてしまったみかんをバッグに入れて持たせてくれたのだが、うっかりよろけてバッグごと踏んでしまったのだ。

足の裏にひんやりと水分を感じたことで、相当強く踏んでしまったことが分かった。

緊急事態。慌ててタイツと靴下を脱ぎ、バッグをひっくり返す。コロコロと転がり出るみかん、かわいい。汁まみれのみかんの中に、１つだけ皮がやぶれて無残な姿となったものが見つかった。「ごめんね〜」と謝りながら、とりあえず無事な部分は食べてしまおうと皮をむいてみると、犠牲となっていたのは３房だった。

たったの３房などという表現をすると叱られそうだが、これだけの量で一瞬で厚手の布バッグの生地、靴下、リブタイツを通過し、他のみかんをベタベタにし、更に床に汁を滴らせるほどの水分を保有していると思うと恐ろしい。

かの有名な果物だけ食べて生活しているフルーツ研究家の方も、水やお茶を口にする代わりにみかんなどの果物で水分を補っているという。

皮肉にも、超ハイパーラブなみかんを誤って踏み潰すという苦い経験を通して、その圧倒的な水分量を体感することになった。

くだものとフルーツ

ところで、くだものを英語で言うと「フルーツ」である。当然「くだもの＝フルーツ」かと思いきや実は定義は違う(スイカは野菜理論)のだが、私は果物とフルーツを超個人的な価値観で判定している。

くだもの

みかん・バナナ・りんご・いちじく

どちらかといえばフルーツ

キウイ・すいか・ぶどう・オレンジ・梨

フルーツ

いちご・メロン・パイナップル・マスカット・さくらんぼ・桃

実家で暮らしいていたときに「フルーツあるよ」と言われて、みかんやバナナが出てくると少しがっかりしてしまったものだ。フルーツと聞くと、どうしても普段から食べられないような少し高級そうなものを思い浮かべてしまう。「りんごね…うーん、今はいいや」と遠慮することもよくあった。わがまますぎる。「りんごだって結構高いんだぞ」とあの頃の自分に伝えたい。
また語感の面において、ランチの最後に「デザート」と称してスライスしたバナナにホイップクリームを申し訳程度にトッピングしたものが出てくるのも許せない。最高に美味しいコンビだけどね。
「フルーツ」も「デザート」も響きが良いだけに、しけた感じがしていてはいけないと思っている。

みかん星人としての覚醒

妊娠後期に入り、突然みかんの美味しさに目覚めてしまった。明らかに食べ過ぎなのだが、我慢できない。主治医から注意されないことをいいことに、毎日５個前後食べている。
置いてあるだけ全部食べてしまいそうなので、
「一房ずつ口に入れること」
「一日５個まで」
というように、みかんについての自分ルールを設けている。ルール制定前は数を数えるまでもなく、外の皮をむいてサトゥルヌスよろしくかぶりついていた。獣のようである。
一日の適量は２個程度のはず。流石に手が黄色くなったら気をつけようと思う。

産地直送売り場の幼気なみかんたち

超個人的格付けでも「くだもの」だったみかん。以前は「食べる？」と勧められても見向きもしなかったのだが、今ではやみつき。以前２日間ほど切らして食べられなかったときには、耳下腺炎のような症状が出てしまったほどだ。みかんを食べないと健康に生きられない身体になってしまった。

計算上一日に５個、一週間で３５個、１ヶ月で１５０個も消費することになるみかん。くだものというのは高級で、みかんも例外ではない。小さめサイズ８個前後で398円というのはやや高めであり、嗜好品レベルといえる。毎日みかんを食べないといけないとなると、もちろん家計を圧迫する。

そこで地域の味方、JAの登場である。農協の産地直送売り場では、スーパーで350〜400円ほどの量が、200〜250円程で売っている。安い。めちゃくちゃ安い。
JAでみかんの取り扱いがあることに気づき、私は嬉々として一週間分(４袋で1000円)買い込んだ。

一週間に1000円なら許容範囲である。ただし、このみかんがとてもすっぱい。すっぱい上に、タネがあったりして食べづらい。値段相応とはこのことだ。「当たりはずれがある」ではなく、「どれもはずれ」である。

しかし、すっぱいみかんで欲を満たしているうちに刺激に慣れてしまい、甘いだけのものだと逆に物足りなくなってきてしまった。安いもので欲を満たせるのはとても好都合なので嬉しいことだ。

ここ数日は冒頭で踏んづけた蒲郡のみかんを食べているが、これが甘くてやや酸味もあり最高においしい。刺すような酸っぱさのあのみかんに戻れるだろうかと、やや不安な毎日を過ごしている。

本日の漫画

[第1話] シャドーハウス - ソウマトウ | となりのヤングジャンプ

水曜まで無料で公開している。急げ！
うっかり夜更かしして明朝まで読み耽ってしまうほどに面白かった。ダークな設定に明るくてちょっとおバカな主人公というのがいいなと思う。絵柄も好み。

今日のまとめ

みかんの話を書きすぎてしまったのでここまで。２０００字超えてしまった。続けていくために、ボリュームは落としたいところだ。

余談だが、主人はみかんの筋を取る派の人間で、食べた後の皮が机上に放置されていると、白い筋が散らかり、動物が食い荒らしていった跡のようでかわいい。かわいいけど、片付けてほしい。